クリーニングに用いられる油とは?環境に優しい油を用いたドライクリーニングをご紹介

クリーニングに用いられる油とは?環境に優しい油を用いたドライクリーニングをご紹介

ドライクリーニングには、水ではなく油が用いられます。正確にはドライ溶剤と呼ばれる有機溶剤であり、製造工程において重油が用いられているのも特徴的です。そうしたイメージから、油を使ったドライクリーニングは環境によくないといわれることも少なくありません。しかしドライクリーニングの世界も環境を意識し始め、徐々に環境に優しいドライクリーニング方法や素材も浸透し始めています。

今回は、環境に優しい油を用いたドライクリーニングについてご紹介します。

ドライクリーニングの油とは?

まずは、ドライクリーニングという方法の始まりや、一般的に用いられている油=溶剤をご紹介しましょう。

ドライクリーニングの始まりはアンモニアから

ドライクリーニングとは、水洗いの代わりに化学物質を使ってクリーニングを行う方法であり、最初のドライクリーニングはローマ人が発祥で、当時の材料は尿から蒸留されたアンモニアでした。

しかし、ドライクリーニングに用いられる材料は、技術の発展とともに変わっていきました。1930年代に塩素系溶剤である「パークロロエチレン」が主流になってからは長いこと続き、かつてはドライクリーニングの8割がこのパークロロエチレンを用いたものでした。

長年主流のパークロロエチレンは有害指定を受ける

しかしパークロロエチレンのデメリットとして環境に優しくないというのがあり、米国環境保護庁によって健康被害・環境被害ともに指摘されました。有害物質として指定を受けたことで、現在でも排出量には規制があり、扱いが難しい溶剤となっています。このパークロロエチレンの有害物質指定をきっかけに、1990年代に米国環境保護庁によってドライクリーニングに用いられる化学物質が規制されることとなり、より安全で環境にも優しい溶剤の使用を奨励する動きが出始めました。

現在は石油系溶剤と塩素系溶剤に別れている

現在では石油系ドライ溶剤と塩素系ドライ溶剤の2つが使われることが多く、石油系溶剤には「ターペン」があり、塩素系溶剤には「パークロロエチレン」があります。パークロロエチレンは洗浄力で勝るものの環境によくないことや、特に合皮やスパンコールなどのデリケートは衣服を洗うときには生地を傷めてしまうデメリットもあり、現在では石油系ドライ溶剤を使う店が比較的多いようです。

石油系ドライ溶剤のメリット・デメリットとは?

ここでは、現在主流となっている石油系ドライ溶剤の特徴とメリットを紹介していきましょう。

石油系溶剤は衣服のダメージが少なく済む

石油系ドライ溶剤は日本で最も普及が進んでいる溶剤で、そのメリットは、油脂溶解が小さく比重が軽いことにあり、そうした特徴によって、衣類への負担が少ないクリーニングを実現出来ます。特にデリケートな衣類を扱う際は、塩素系溶剤だとダメージを与えてしまう危険性があるので、そうした面からも石油系溶剤が人気となっています。

しかし、他の洗浄方法でのクリーニングが可能であるにも関わらず、石油系溶剤の使い勝手がいいという理由で石油系溶剤を用いるなどの例もあり、環境保護の意味合いからするとあまり使いすぎもよくないので、批判を受ける向きもあります。

ススやホコリなどの不溶性の汚れを落とせる

特に石油系溶剤を用いたドライクリーニングは、材料が油というだけあって油汚れに強いという特徴がありますが、実は油汚れ以外にも効果を発揮します。たとえば、いわゆる不溶性粒子=ススやホコリなどの汚れに関しては、実は油脂成分が衣服の繊維との接着剤となっていることが多いのですが、そうした不溶性粒子の接着を剥がすためにも、石油系溶剤は大いに役立ちます。

デメリットは扱い方によって有害になる場合があること

石油系ドライ溶剤のデメリットとしては、水溶性の汚れが弱いことが挙げられます。これは水と油の関係で水は油を弾いてしまうからです。ドライクリーニングにおいて洗剤と微量の水を混ぜて解決する手段もありますが、やはり水溶性の汚れが最も綺麗に取れるのは水を用いたクリーニングなので、どうしても不十分になってしまうところはあります。

また、石油系溶剤は洗濯する毎に捨ててしまっては完全なる環境破壊につながってしまうので、使い終わったら汚れをフィルターで濾過し、汚れを取り除いて綺麗な状態に戻してから再度繰り返し使用するという方法が取られます。そのため、使い終わった後の管理も非常に重要で、管理を怠ると油はすぐに汚くなってしまいます。

ドライクリーニング後に乾燥を怠るなどのミスがあると、洗濯物に油が残留してしまい、化学やけどなどが発生するリスクもあります。

フッ素系溶剤のメリット・デメリットとは?

先ほど、主に用いられている溶剤は石油系と塩素系があると説明しましたが、塩素系溶剤はほとんどがパークロロエチレンであること、パークロロエチレンのメリットもデメリットも説明しきったので、ここではフッ素系溶剤のメリットをご紹介しましょう。

フッ素系溶剤は洗う時間が短く済む

フッ素系溶剤は油脂分解力こそ小さいものの、浸透量や比重が大きいことから洗う時間が短く済むというのが最大のメリットです。また、沸点が低いことや揮発性が高いことで乾燥温度も低く時間も短く済むというのも大きな利点であり、揮発性が高いということで衣類に残留しづらいというのもメリットとなります。

ただし、フッ素系溶剤は代替フロンとなっており、環境汚染の元となって1995年から製造禁止となっている特定フロンの代替として用いられてきた歴史があって、代替フロンに関しても製造は2020年までという規制があります。近い将来、使えなくなることが前提となっているのが最大のデメリットといえるでしょう。

グリーンドライクリーニングとは?

グリーンドライクリーニングとは、前述のパークロロエチレンを使用しない代替ドライクリーニング全般を指す言葉です。このグリーンドライクリーニングにはいくつか種類があります。

特殊な洗剤と水を使用したウェットクリーニング

まずは、家庭用洗濯機よりもよりマイルドな水と特殊な洗剤を使用したウェットクリーニングという方法があります。洗濯から乾燥、プレスやスチーム、仕上げ機に至るまでコンピュータ制御で動くウェットクリーナーを用いて、服をより負担なく美しく仕上げられます。

溶剤を使用しないクリーニング方法として注目を集めており、米国環境保護庁も最も安全なクリーニングであると太鼓判を押しています。現在では水洗いは衣類への負担がおおきいといわれていますが、近い将来、もしかしたらその価値観が変わるかもしれません。

シリコン系溶剤

GreenEarthをはじめとするシロキサン、D-5と呼ばれるシリコン系溶剤は、基本的には液化砂です。廃棄されると砂と水、二酸化炭素に分解され、何よりも自然に優しいのがメリットです。化学薬品が手や服に触れないというのもメリットですが、シロキサンを製造する際に塩素が使用され、製造過程においてダイオキシンなどの有害物質が発生してしまうという大きなデメリットがあります。

液体二酸化炭素クリーニング

二酸化炭素クリーニングは、洗浄剤として溶剤ではなく液体二酸化炭素と洗剤を使用します。液体二酸化炭素は無毒であり、炭酸飲料にも用いられるものです。使用される二酸化炭素が空気中に出てしまう割合も3%未満なので、環境にも優しい方法となっています。デメリットとしては、ドライクリーニング機の値段が4万ドルクラスと極めて高額なことくらいでしょう。

まとめ

以上、主にドライクリーニングにおいて用いられる油や溶剤の特徴やメリット・デメリットを網羅的に紹介、解説してきました。近年、どんな分野でも環境を意識した取り組みが奨励され注目される中で、ドライクリーニングの方法も徐々に見直されつつあります。

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